第6回募集(2013年2月15日~4月14日)に寄せられた「自由部門」の作品をご紹介します。
ご投稿いただいた皆様、ありがとうございました!
こんなに、
よく見えるようになったんだもの。
少しくらい鼻にかけてもいいよね。
―――― 眼鏡
日に日に被され重くなる。
時には叩かれ足が乗る。
化粧をしたいが埃舞う。
綺麗な顔に戻りたい。
―――― 事務机
去年の夏から
ずっと出番を
待っているよ。
―――― せん風機
小さいけど
君をまもるね。
―――― 五月人形
俺があの子の唇を奪ったのは、
一度や二度じゃないんだぜ。
―――― ラムネ瓶
ご主人様
今夜はどちらに漕ぎ出しましょう。
ご一緒します夢の世界へ
―――― まくら
貴方も痛いかもしれませんが
私だって痛い!
―――― 布団タタキ
一筆選評
今回の「自由部門」の一筆選は、あなたにたこ焼きさん作「眼鏡」です。
「こんなに、/よく見えるようになったんだもの。/少しくらい鼻にかけてもいいよね。」
眼鏡をかけている人(私もそうなのですが)にとって、眼鏡の存在はあまりにも「あたりまえのもの」になっていて、普段その働きに感謝することはあまりありませんよね。でも生活する上で、トップクラスの「なくてはならないもの」であり、万が一破損した時のことを考えると、本当に恐ろしい。あなたにたこ焼きさんの一訓は、私たちを日々鼻の上で支えてくれている眼鏡の働きを、そしてその働きに対する感謝の気持ちを、ユーモアに満ちた表現で改めて思い起こさせてくれる素敵な一訓です。
この他にも、味わい深い訓が多々。毎晩の睡眠がグンと楽しくなりそうな、折鶴さんのロマンチックな一訓「まくら」、さっそく机掃除を始めたくなる嵐さん作「事務机」、素直な表現で心洗われる夏秋さん(小学五年生)の訓など、どれも素晴らしい出来栄えで感じ入りました。(一筆)