第6回募集(2013年2月15日~4月14日)に寄せられた「課題部門」の作品をご紹介します。
ご投稿いただいた皆様、ありがとうございました!
お題:カレンダー
私が薄くなった分だけ
あなたの人生が厚くなっています
―――― カレンダー
昨日までは、ただの数字。
君が生まれた今日からは、
もう絶対に忘れられない数字。
―――― カレンダー
ぼくを見つめる目は、
かならず未来に向いている。
―――― カレンダー
数字の赤い日が
ふえるといいね。
―――― カレンダー
身をほそらせて
貴方の未来へ橋渡し
日めくり暦の喜びです。
―――― カレンダー
アナタが笑った!
あなたが泣いた!
貴方が怒った!
一緒に歩んだ一年間。
―――― カレンダー
いつだって
あなたにあるのは
たったの一日
―――― カレンダー
この365個をいい日にするだけ。
幸せになる方法は、簡単でしょ?
―――― カレンダー
一筆選評
今回の「課題部門」の一筆選は、Pさん作「私が薄くなった分だけ/あなたの人生が厚くなっています」です。
今回は一筆選を一訓にしぼるのが忍びないくらい秀作ぞろいで、選定にあたっては非常に悩みました。
一閃さん作「昨日までは、ただの数字。/君が生まれた今日からは、/もう絶対に忘れられない数字。」、前向きな視点とシャープな語り口が清々しい黒船さんの一訓、秀逸な表現が光る折鶴さんの二訓……どれも大変味わい深い作品で、できれば全訓、一筆選とさせていただきたいところでした。小学生ならではの無垢な観点(世の社会人も共感!?)が新鮮な夏秋さんの一訓も、素晴らしい出来栄え。また、一日一日の大切さを思い出させてくれる月呑さんの一訓も素敵でした。
最終的に一筆選としたPさんの訓は、巧みなレトリックによって、短い言葉にユーモアと深みが凝縮された快作。「あなたの人生が厚くなっています」という読み手に対する断定表現は、「そうだよねぇ」と頷きたくなるような妙な安心感を与えてくれる一方で、「そうでありたいなぁ」という希望的な想いや、逆に「本当にそうかなぁ?」という自問まで喚起するような、深みと力強さを秘めたメッセージとなっています。まさに、カレンダーの横に貼っておきたくなるような、そんな一訓ですね。
今回も、一訓一訓、本当に楽しく拝読させていただきました。ご投稿いただいた皆様、どうもありがとうございました。またのご投稿を心よりお待ちしております。(一筆)