物々訓倶楽部

第10回 投稿作品【課題部門】

2014年4月8日

第10回募集(2014年2月14日締切)に寄せられた「課題部門」の作品をご紹介します。
ご投稿いただいた皆様、ありがとうございました!

お題:鍋(なべ)

突つかれて なんぼ!
いい味している証拠と思う
―――― 鍋

作者:お題: 、

グツグツ
ただひたすら心をこめて
グツグツグツ
そうしたら いつの間にか
みんな一つになったんだ
―――― 鍋

作者:お題: 、

悪を救う奉行でも
必要とされる時がある。
―――― 鍋

作者:お題: 、

ひとりでブツブツ
いっていないで
わたしといっしょに
グツグツしようよ
―――― 鍋

作者:お題: 、

貴方の暖かいって
顔を見てると
いつもより私
暖かくなる
ふしぎ。
―――― 鍋

作者:お題: 、

新入りの活躍
定番の底力
秘密兵器のインパクト
微笑みの君
無くていい奴なんていないんだ
―――― 鍋

作者:お題: 、

凍える誰かを救いたいなら
熱いくらいじゃないとダメだぜ
―――― 鍋

作者:お題: 、

クリスマスプレゼントを
もらえなくても、
お年玉をもらえなくても、
体の底から元気をもらえる冬が
楽しみなんです。
―――― 鍋

作者:お題: 、

一筆選評

今回は恐縮ながら作品公開が遅れ、すっかり鍋の季節は終わってしまいましたが(申し訳ございません)、まるで鍋料理さながらの多彩な美味訓をお寄せいただいております。

今回の「課題部門」の一筆選は、凪音さんのこの一訓。

「突つかれて なんぼ!/いい味している証拠と思う」

いやあ、いい味してますね。鍋を人に置き換えて、美味いこと、いや上手いこと、おっしゃっています。突つかれて、熱くなってる人、はにかんでる人、口をヘの字に曲げてる人。そんな人間味あふれる、愛すべき人たちの顔が目に浮かぶよう。凪音さんの、人への温かい眼差しが、ダシのように染みている逸訓です。

もう一訓、一筆選の候補としたのが、SSじゅうさんの作品。

「悪を救う奉行でも/必要とされる時がある。」

「灰汁(あく)」と「悪」をかけて洒落を効かせつつ、実は「必要悪」という深いテーマに斬り込んでいる、ブラックジョーク風味の秀作です。スゴ腕ですね。大いに、うならされます。

擬音のレトリックを使った、玲緒さんの一訓も素敵です。

「ひとりでブツブツ/いっていないで/わたしといっしょに/グツグツしようよ」

独りではなく、仲間や家族と楽しむもの。鍋の持つそうしたイメージを使って、ユーモア仕立てで料理した、あったか~い作品です。

「元気」で満たされることが、何より嬉しい。そんな前向きな、Pさんの一訓もいいですね。

「クリスマスプレゼントを/もらえなくても、/お年玉をもらえなくても、/体の底から元気をもらえる冬が/楽しみなんです。」

底から火(=元気)を得る、鍋の特性を上手に活用した、味わい深い一訓です。

それにしても皆さん巧いので、ぼくも負けないように、がんばらなくっちゃ。と、ちょっぴり奮起しつつ、今回は筆を置かせていただきます。ではまた次回。ごきげんよう。(一筆)