物々訓倶楽部

第11回 投稿作品【自由部門】

2014年5月11日

第11回募集(2014年2月15日~4月14日締切)に寄せられた「自由部門」の作品をご紹介します。
ご投稿いただいた皆様、ありがとうございました!

まわりの空気なんかに
影響されないで!
君は君らしくいつまでも
熱くいて欲しいんだ。
―――― 魔法瓶

作者:お題:

どうぞ、どうぞと譲り合う
日本人らしい考え方って
なんだか面倒臭いけど
嫌いじゃないんだよな。
―――― トランシーバー

作者:お題:

尻に敷かれっぱなしでも
全然かまわないさ。
笑いの絶えない一生を送りたくて
君を選んだんだ。
―――― 座布団

作者:お題:

燃えるような恋がしたければ
ただ見つめあうだけでいいんだ。
焦点をあわせたまま。
―――― 虫眼鏡

作者:お題:

ほら、あの人との思い出に
とるにたりないものなど
何一つ、なかったでしょう。
―――― カメラ

作者:お題:

「あっち向いて、ホイ!」
だけは、苦手なんだよね。
ほら、また負けちゃった。
ほんとは、
勝ったことないんだよね。
でも、元気にがんばるよ。
―――― スマートフォン

作者:お題:

首をかしげて曇った顔より
下を向いて雨粒涙より
上を向いて歩こうよ。
笑顔がこぼれるほど
晴れた空が広がってるよ。
―――― 下駄

作者:お題:

「鍋パーティー」
とかよくいうけどさ、
俺は別に主役じゃないんだよね。
―――― 鍋

作者:お題: 、

一筆選評

今回の「自由部門」の一筆選は、SSじゅうさんのこの一訓。

「まわりの空気なんかに/影響されないで!/君は君らしくいつまでも/熱くいて欲しいんだ。――――魔法瓶」

“熱い”メッセージと「魔法瓶」の特性が、とても自然にリンクしていて、素直に「ウマイこと&イイこと言うなぁ」と思えますよね。こうした「自然さ」を出すには、実は、かなりの技量を要します。SSじゅうさんの訓は、前々回、前回に続き、3連続で「自由部門」の一筆選に選ばせていただきましたが、毎度、その巧みさに驚かされます。「トランシーバー」や「座布団」も冴えてますよね。

「どうぞ、どうぞと譲り合う/日本人らしい考え方って/なんだか面倒臭いけど/嫌いじゃないんだよな。――――トランシーバー」

「尻に敷かれっぱなしでも/全然かまわないさ。/笑いの絶えない一生を送りたくて/君を選んだんだ。――――座布団」

「魔法瓶」同様、メッセージと物がきちんと響きあうよう料理されて、上質な訓に仕上がっています。まるで、素材を活かしきった三ツ星料理のよう。熟練の物々訓シェフの如き、その安定した技量に拍手です。

他にも、こんな快作が。前向きな姿勢と仄かな哀愁が絶妙にブレンドされた、花巻さんの深イイ一訓「カメラ」。思わずクスッと笑ってしまう、あなたにたこ焼きさんのユーモアあふれる「スマートフォン」。いつも中心で活躍するのに、実は主役じゃない……そんな「鍋」の宿命を綴った、りさんの一訓。それぞれに、それぞれの味わい深さがあって、素敵ですね。(りさんの「鍋」は前回の「課題部門」へのご投稿でしたが、締め切り後にお寄せいただいたため、今回「自由部門」にて紹介させていただきました。何とぞ、ご了承くださいませ。)

皆さん、個性的な力作を、ありがとうございました。(一筆)