物々訓倶楽部

第12回 投稿作品【自由部門】

2014年7月10日

第12回募集(2014年4月15日~6月14日締切)に寄せられた「自由部門」の作品をご紹介します。
ご投稿いただいた皆様、ありがとうございました!

お前の選択に
オレはついていく。
たとえ干されちまったとしても
オレはお前に肩を貸してやる。
―――― ハンガー

作者:お題:

適当なさじ加減で生きてると
甘ったれの
しょっぱい人生になっちまうよ。
―――― 計量スプーン

作者:お題: 、

ヒビが入らない位に
互いにぶつかり合って
友情が深まるんだ。
―――― グラス

作者:お題: 、

時間に追われすぎないで!
ひっくり返ってボーっとして
頭がからっぽになるころ
丁度いい頃合いになってるよ。
―――― 砂時計

作者:お題:

たまに歩みを止めて、
ちょっと先を眺める。
すこし楽にいくコツ。
―――― エスカレーター

作者:お題:

一生を添い遂げる相手とは
産まれた時からしっかりと
固く糸が結ばれてるのさ。
―――― 菜箸

作者:お題: 、

まんぱんになるまでが
ぼくの仕事
―――― 貯金箱

作者:お題:

ああ、また君の手が
僕を捻くれ者にする
―――― 蛇口

作者:お題:

一筆選評

SSじゅうさん、4回連続の「自由部門」一筆選です。あいかわらず巧いですね。

「お前の選択に/オレはついていく。/たとえ干されちまったとしても/オレはお前に肩を貸してやる。――――ハンガー」

洗濯物とハンガーの関係を、人と人の関係に置き換え、絶妙な言い回しで訓に昇華した傑作です。「洗濯」に掛けた「選択」という言葉を冒頭で用いてスムーズに人間の話に持っていき、固い絆を表す力強い言葉を畳み掛ける……。巧みとしか言いようのない出来栄えです。

もう二訓、SSじゅうさんの訓で一筆選の候補としたのが「グラス」と「計量スプーン」。

「ヒビが入らない位に/互いにぶつかり合って/友情が深まるんだ。――――グラス」

「乾杯」というモチーフを使い、切磋琢磨と友情を描いたこの訓も、深みがありますね。センスもいい。

「適当なさじ加減で生きてると/甘ったれの/しょっぱい人生になっちまうよ。――――計量スプーン」

この訓も、実に“味のある”秀作です。物の特性を活かしながら、人間の話として訓へと昇華する。まさに物々訓の王道と言える秀作を次々と生み出す、その力量に脱帽です。

この他のSSじゅうさん作品「砂時計」「菜箸」も取り上げたいところですが、その二訓は読者の皆さんなりの味わい方でじっくり堪能していただくことにして、もう一人の匠、メメ倉さんの作品に移りましょう。

「たまに歩みを止めて、/ちょっと先を眺める。/すこし楽にいくコツ。――――エスカレーター」

メメ倉さんも素晴らしい腕前で、「課題部門」の方では2回連続で一筆選に選出させていただきました。この作品も素敵ですね。やさしさに満ちた前向きな訓で、なんだかこう、心がほぐされるというか。

物々訓投稿に最も長い期間参加してくださり、近日「訓人(物々訓プロジェクト公認作家)」に認定予定の夏秋さん(小学六年生)の訓も、深いですよ。

「まんぱんになるまでが/ぼくの仕事――――貯金箱」

つまり、貯まったお金の使い方は、その人次第ということ。お金を活かすか、無駄にするか。さて、あなたならどのように使いますか?

最後に、前回も投稿してくださった期待の新星、花巻さんの一訓を。

「ああ、また君の手が/僕を捻くれ者にする――――蛇口」

捻くれるものの、結果的には「君」の思い通りにしちゃう(水の出し止めをしちゃう)わけで。ユーモアと切なさが同居しているところが、実におもしろいですね。技巧的には、冒頭の「ああ」の使い方が巧い。この2文字が、全体の印象をグンと強くしています。

それにしても、今回の「自由部門」もクオリティが高かったですね。ご投稿いただいた皆さん、どうもありがとうございました。(一筆)