第14回募集(2014年8月15日~10月14日締切)に寄せられた「課題部門」の作品をご紹介します。
ご投稿いただいた皆様、ありがとうございました!
お題:花火
夜空にとどまらず
記憶にとどまる
―――― 花火
お日様が沈んでからが
僕にとっては夏なんです
―――― 花火
いいじゃん。
少し煙たがられるくらい。
みんなを明るくできるのなら。
―――― 花火
みんなの顔がみたいから
僕は明るく照らすんだ
うつむかないで
上を向いてるみんなをみたいから
―――― 花火
たとえ後に残すものがなくとも、
幾ばくかの惜情を含んだ
笑顔で見送ってもらえる。
そんな別れ際があれば良い。
―――― 花火
夜に大きな音だして、
ギラギラ眩しくさせたら、
普通迷惑しちゃうよね。
でも、みんな喜んでくれるよ、
自分の場合。
大事なのは見せ方じゃない?
―――― 花火
身を焦がすような
わたしのこの苦しみが
あなたの光になりますように
―――― 花火
湿気た顔しちゃ、
周りも明るくならないよ。
―――― 花火
燃ずれば、花ひらく。
―――― 花火
終わりはいつだって
あっけないものよ
―――― 花火
後先考えない方が
パッとしたこと
できるんじゃないかな
―――― 花火
なになに
燃え尽き症候群?
素晴らしい!
―――― 花火
一筆選評
今回の「課題部門」の一筆選は、Pさんのこの一訓です。
「夜空にとどまらず/記憶にとどまる――――花火」
秀逸なレトリックを使い、短い言葉で印象的なメッセージを放つその技量、アッパレです。
儚さと華やかさ、力強さが一体となった花火の魅力が行間から滲み出し、さまざまな示唆を与えてくれる、まさに「記憶にとどまる」一訓ですね。
他にも、キラリと光る訓がズラリ。
自らを多少犠牲にしてでも、みんなのことを思う。その気持ちに拍手を送りたい、SSじゅうさんの一訓。
「いいじゃん。/少し煙たがられるくらい。/みんなを明るくできるのなら。――――花火」
「いいじゃん。」という印象的な言葉を冒頭に持ってきているところも、巧いですね。
やさしさに満ちた前向きな一訓で、発想も素敵な、おおいけさんの作品。
「みんなの顔がみたいから/僕は明るく照らすんだ/うつむかないで/上を向いてるみんなをみたいから――――花火」
(メッセージを、より印象的に際立たせるために、前半の「みんなの顔がみたいから/僕は明るく照らすんだ」を思いきって省くという手も、もしかしたらあるかもしれませんね。ご参考まで)
「別れ」をテーマにした、メメ倉さんの一訓。
「たとえ後に残すものがなくとも、/幾ばくかの惜情を含んだ/笑顔で見送ってもらえる。/そんな別れ際があれば良い。――――花火」
「大事なのは見せ方」という教訓を親しみやすいセリフで表現した、takoballさんの一訓。
「夜に大きな音だして、/ギラギラ眩しくさせたら、/普通迷惑しちゃうよね。/でも、みんな喜んでくれるよ、/自分の場合。/大事なのは見せ方じゃない?――――花火」
華やかなる存在が秘めた労苦と想いを綴った、玲緒さんの一訓。
「身を焦がすような/わたしのこの苦しみが/あなたの光になりますように――――花火」
いずれの訓も味わい深く、夏を偲びつつ、じっくり噛みしめさせていただきました。
ご投稿いただいた皆さん、ありがとうございました。ではまた次回。ごきげんよう。(一筆)