物々訓倶楽部

第24回 投稿作品【自由部門】

2016年7月9日

第24回募集(2016年4月15日~6月14日)に寄せられた「自由部門」の作品をご紹介します。
ご投稿いただいた皆様、ありがとうございました!

一発変換で出てこない?

だから世の中楽しいんだよ
―――― スペースキー

作者:お題:

磨けば光る子だよ、あんたは。
―――― たわし

作者:お題:

この音を
あなたの耳に
とどけたい。
―――― イヤホン

作者:お題: 、

押してダメなら

引いてみるべし
―――― のれん

作者:お題:

一筆選評

梅雨、真っ只中。空はどんより、空気はジトジト……気分もいまひとつスッキリしない今日この頃ではありますが、皆さん、いかがお過ごしですか? 色鮮やかな紫陽花や、傘の華や、五月雨の情緒的な雰囲気が楽しめるという、この季節独特の素敵な部分もあるのですが、個人的には、早く元気な太陽が見たいなぁ。

でもこの季節、意外と文芸には合っていますよね。しとしと降る雨を眺めながら、静かに物々訓を味わう。あるいは、お気に入りのペンを片手に一訓ひねる。なんか情緒があって素敵です。

前置きが長くなってしまいましたね。ではさっそく今回の「自由部門」の一筆選をご紹介したいと思います。ヅキーさんのこの一訓です。

一発変換で出てこない?

だから世の中楽しいんだよ
  ――――スペースキー

世の中、単純じゃないし、そう簡単にはうまくいかない。だからこそ楽しいんだという、前向きかつ深みのある一訓ですね。

パソコンで文字を打つ際に、スペースキーは頻繁に使いますが、思いつかなかったですね、そのスペースキーに語らせるというのは。キーボードの数あるキーの中の1つがしゃべるという発想、おもしろいです。他のキーも、何か語れるかもしれませんね。

同じくヅキーさんのこの一訓も印象的でした。

磨けば光る子だよ、あんたは。
      ――――たわし

表現が巧いですよね。なんだか、おばあちゃんに言われているようで、不思議と、愛情や親しみや説得力を感じます。こんなこと言われたら、思わず嬉しくなってしまいます。温かい気持ちにもなるし。ひと言に優しさがにじみ出るって、こういうことなんだなと思います。

最後にひとつ。yukkomomさんから「月」という作品をお寄せいただいたのですが、物々訓で扱う物は人工物に限るという作法がありまして……とても素敵な作品だったのですが、残念ながらサイトに掲載できないため、ここで紹介させていただきます。

私の裏側は
誰にも見せません
   ――――月

(物々訓主宰/一筆)