物々訓倶楽部

第25回 投稿作品【自由部門】

2016年9月14日

第25回募集(2016年6月15日~8月14日)に寄せられた「自由部門」の作品をご紹介します。
ご投稿いただいた皆様、ありがとうございました!

おれのハートはやぶけないぜ
―――― くつした

作者:お題:

手に持てるうれしさ
―――― CD

作者:お題:

たまには気を抜きたいナ
―――― タイヤ

作者:お題:

一筆選評

晩夏と言うべきか、初秋と言うべきか……そんな微妙な、季節の過渡期。皆さんは、いかがお過ごしですか? 祭の後のような、そこはかとない寂しさと、過ごしやすい、実りの季節に向かう嬉しさが同居する、ホント「微妙」という言葉がピッタリの時期。さらに今年は台風続きで、天気も微妙なので、いまひとつスッキリしない。早く秋晴れの日々が到来してほしいものです。

さて、今回の「自由部門」の一筆選をご紹介します。夏秋さんの、この一訓です。

おれのハートはやぶけないぜ
     ――――くつした

うまいですね。足元という過酷な環境で、人々を支える「くつした」。そのタフな生き様に似合う、素敵なお言葉です。ウィットもきいていて、さらに拍手。ひと言が、ストレートに胸に響く秀作です。

同じく、夏秋さんのこの一訓も印象的です。

手に持てるうれしさ
      ―――CD

最近は、インターネットで簡単に音楽を買ったり聴いたりできるので、CDなどパッケージ商品の存在感は薄れる一方ですよね。確かにネット(デジタル)ミュージックは便利なのですが、なにせ実体のないデジタル商品なので、手に取ることもできず、いまひとつ所有感がないというか……僕は、(世代的なこともあると思うのですが)そんな感じがして……Google Play Musicを使いつつも、これぞというアルバムはCDで買うことにしています。ジャケットを眺め、ライナーノーツを読みながら音楽を聴く楽しみを、やはり僕は捨てられません。前置きが長くなりましたが、そんな想いを簡潔に、かつ印象的に代弁してくれているこの訓を拝読し、「そうそう」と独りうなずきながら共感した次第です。

ヅキーさんの一訓も素敵です。

たまには気を抜きたいナ
      ――――タイヤ

人々の足となって暮らしを支える「タイヤ」。前出の「くつした」同様、過酷な環境で働くタフな存在ですが、こちらは「くつした」と違い、ちょっとお疲れモードのようです。でも逆に言うと、一生懸命、誠実に、過酷な仕事に取り組んでいるからこそ、言えるセリフでもある。ここがポイント。物々訓は、愚痴のセリフをよしとしていませんが、この訓は、単なる愚痴ととらえるのではなく、あえて逆説的に意味をとらえたいと思います。そうすると、グンと深みが増します。そして何よりこの訓は、作訓の技術が高い。パンパンに張りつめたタイヤのイメージを言外に巧く活用している、タイヤを満たす空気をイメージさせる「気」という言葉をさりげなく使っているなど、一行の短いセリフに、いろんな工夫が凝縮されています。(物々訓主宰/一筆)

※「課題部門」もありますので、ぜひそちらもご覧ください。