物々訓倶楽部

第25回 投稿作品【課題部門】

2016年9月14日

第25回募集(2016年6月15日~8月14日)に寄せられた「課題部門」の作品をご紹介します。
ご投稿いただいた皆様、ありがとうございました!

お題:サングラス

視線は隠せるけど

のびた鼻の下までは。。
―――― サングラス

作者:お題:

偏見も
思い込みも
ぼくには無い
あなたの瞳を守るだけ
―――― いろめがね

作者:お題:

わたしの黒いボディを、
いろんな用途で使って下さい。
―――― サングラス

作者:お題:

好きな子の目を
じっと見つめたい。
そんなあなたに・・・
どうぞ
お使いください。

―――― サングラス

作者:お題:

さっきの人、
会いたがってた人じゃない?
―――― サングラス

作者:お題:

一筆選評

今回の「課題部門」のお題は「サングラス」です。サングラスにはいくつか用途がありますが、皆さんそれぞれの視点でサングラスをとらえ、素敵な訓を作ってくださいました。

一筆選は、ヅキーさんの一訓です。

視線は隠せるけど

のびた鼻の下までは。。
――――サングラス

おもしろい。でも、おもしろいだけじゃない。ここが、この訓の素晴らしいところです。ユーモアの奥にあるのは、「サングラスで目を隠しても、どこかで人となりは出るものだ」というメッセージ。クスッと笑った後に、深い余韻がジワジワと心に広がる快作です。

一方、太平楽さんの一訓は、「目を隠す」という用途ではなく、「目を守る」という用途にフォーカスした佳作です。

偏見も
思い込みも
ぼくには無い
あなたの瞳を守るだけ
 ――――いろめがね

サングラスを「いろめがね」と意訳し(こういうのもありですね)、その意味を表す「偏見」「思い込み」という言葉を巧く使いながら、「瞳を守るだけ」という一途な姿勢を表現したこの一訓。緻密でいて、そこに費やされた労力を感じさせない、整理されたセリフ運びが素晴らしい。そして、実直な印象も気持ちいい。お題をこのように発展させる手もあるんだなと、感じ入りました。

夏秋さんの一訓は、サングラスにいくつか用途があることを逆手に取った佳作です。

わたしの黒いボディを、
いろんな用途で使って下さい。
    ――――サングラス

サングラスは、目を隠したり、目を守ったり、ファッションに活用したり、いろんな使い方ができますが、その用途を決めるのは、使う人自身。逆に言うと、使う人によって、ネガティブな物にもポジティブな物にもなり得る、ということです。そうしたことが示唆的に表現されているようで、実に味わい深いと感じました。鮮烈な印象を高める「黒いボディ」という色表現も効いています。

yukkomomさんの一訓は、ヅキーさんの訓同様「目を隠す」という用途で綴られていますが、テーマは異なり、こちらは「照れ隠し」。作品の味わいも、まるで違います。

好きな子の目を
じっと見つめたい。
そんなあなたに・・・
どうぞ
お使いください。

 ――――サングラス

甘酸っぱいですね。爽やかですね。純真ですね。好きな人の目をじっと見つめるなんて……それは照れますよね。でも、その人としっかり向き合わないと、関係は前進しない。向き合うなら、サングラス着用もやむなし……できれば、裸眼で見つめたほうがよいとは思うのですが(笑)あと1つだけ。勝手な感想で恐縮ですが、最後の二行を削ったほうが、セリフが引き締まり、かつ余韻も残って、より印象的になると思いました。ご参考まで。

203xさんの一訓も、サングラスの用途は、ヅキーさん、yukkomomさんの訓と同じなのですが、作品の味わいは、また少し違います。いろんな味わいがあって、おもしろいですね。

さっきの人、
会いたがってた人じゃない?
    ――――サングラス

サングラスが持ち主に語りかける、というスタイルが新鮮なこの訓。具体的なことがあまり明示されていない分、想像がふくらみます。「会いたがってた人」というのは、どんな人なのか? この後、サングラスはどんな発言をするのか? そして持ち主は、どんな行動をとるのか? ぜひ、続きを聞いてみたくなります。この訓は、まるでサングラスをかけている人のように、ちょっぴり神秘的。そうした神秘性も、人を惹きつける、ひとつの要素なんですね。訓の内容とは別の次元で、ちょっと考えさせられました。(物々訓主宰/一筆)

※「自由部門」もありますので、ぜひそちらもご覧ください。