物々訓倶楽部

第28回 投稿作品【自由部門】

2017年3月11日

第28回募集(2016年12月15日~2017年2月14日)に寄せられた「自由部門」の作品をご紹介します。
ご投稿いただいた皆様、ありがとうございました!

あなたの心で
入口は出口、
出口は入口に
変えられるよ。
―――― ドア

作者:お題:

共存共栄のためには、
棲み分けが大切なのさ。
俺とカッターのように。
―――― はさみ

作者:お題: 、

一筆選評

桜吹雪を間近に控え、目に見えない花粉吹雪が猛威をふるう昨今。皆さんは、いかがお過ごしですか? 花粉症の方はホントにツラそうですよね。大変。こんな時期だからこそ、たまには、花粉を避けて家でのんびり文芸を楽しむのも一興。文芸というと、なんとなく秋のイメージがありますが、外出がツラい花粉の季節や梅雨の時期なんかも、意外と向いているかもしれませんね。

さて、今回の「自由部門」の一筆選をご紹介します。baddesigncompanyさんの、この一訓です。

あなたの心で
入口は出口、
出口は入口に
変えられるよ。
――――ドア

うむ、深いですね。深いだけでなく、独特の趣もあります。入口は出口、出口は入口……なんとなく迷宮のような、メビウスを輪のような、不思議な趣を持つ一訓です。

シンプルに、

あなたの心で
入口と出口は
変えられるよ。
――――ドア

とすることもできたと思うのですが、あえて「入口は出口、出口は入口に」とすることで、異色の効果が生まれています。

一枚のドア。それは、訪れた人から見れば「入口」だし、帰る人から見れば「出口」なんですね。要は、同じ物事でも見方によって、もっと言えば、とらえ方ひとつでも意味が変わり得るということ。

例えば、しばらく入院することになったとして、それを悲観的にとらえることもできますし、楽観的に忙しい毎日から抜け出せるいい機会ととらえることもできます。この場合後者は、入院生活への「入口」を、忙しい毎日からの「出口」に変換しています。

もうひとつ。例えば、恋人にフラれたとして、その別れを感傷的にとらえることもできますし、前向きに次の恋へのステップととらえることもできます。この場合後者は、恋の「出口」を、新たな恋の「入口」に変換しています。

もちろん、どうとらえるかは、その人次第ですし、どちらが正しいということもない。ただ、その「とらえ方」によって何かが変わり、その積み重ねによって人生さえ変わってくるのではないか。そんな風に思います。

ぼた餅さんの一訓も、印象的でした。

共存共栄のためには、
棲み分けが大切なのさ。
俺とカッターのように。
   ――――はさみ

「はさみ」と「カッター」という、いわば“同業者”の関係を通して、共存共栄の秘訣を語った佳作です。

両方とも物を切る役目を担っていますが、例えば、太めの紐を切るならハサミの方が便利とか、紙をまっすぐ切るならカッターの方が便利とか、それぞれの持ち味がありますよね。つまり、同じ土俵に立ちながらも、うまく棲み分けができている。だからこそ、どちらか一方が廃れ消えていくことなく、長らく共存共栄できているわけです。これを人間界の場合に置き換えて考えてみると有意義だと思います。

(物々訓主宰/一筆)

※「課題部門」もありますので、ぜひそちらもご覧ください。