物々訓倶楽部

第32回 投稿作品【課題部門】

2017年11月10日

第32回募集(2017年8月15日~10月14日)に寄せられた「課題部門」の作品をご紹介します。ご投稿いただいた皆様、ありがとうございました!

お題:帽子

白球追いかけた3年間

今日だけは目深にかぶろう
―――― 野球帽

作者:お題:

まぁ、あれだ。
3年間お疲れさま。
は?泣いてねーよ!
お前の汗だろ!
―――― 野球帽

作者:お題:

上からの眺めは最高
―――― 帽子

作者:お題:

同じ目線で物事を見てやるし
いざというときは、俺が一緒に
お前の膝より低く頭を下げてやる
情けない面隠す手助けもしてやる
だから、どんと構えてろ
そのほうが似合う
―――― 帽子

作者:お題:

僕が守ってあげる
君の顔 見られないように
僕が隠してあげる
君の顔 笑顔になるまで
きっと もうすぐ
上を向いて歩けるよ
―――― 帽子

作者:お題:

ボクの裏側に書いた先輩の
『プロで待ってる』

今キミは駆け上がる途中
一緒に見守ってるよ
―――― 野球帽

作者:お題:

とある小説のキーパーソンにも
人気少年マンガの主人公にも
出てくるボク
けっこう売れっ子かも♪
―――― ストローハット

作者:お題:

さざ波が見えるとこに異動したボ

1歳半のカレは、ボクと一緒に
海沿いのお散歩がお気に入り
海風もイイですね
―――― おさがりのネコ耳ベビー帽

作者:お題:

一筆選評

今回の課題部門のお題は「帽子」。色々なスタイルや味わいがある帽子に負けず劣らず、多彩な作品をお寄せいただきました。投稿いただいた皆さん、ありがとうございました。その中でも特に印象的だったのが、ヅキーさんのこの一訓です(ヅキーさんは前回に続き、二連続で課題部門の一筆選を獲得!)。

白球追いかけた3年間

今日だけは目深にかぶろう
     ――――野球帽

ドラマチックですね。この短い言葉の奥に渦巻くさまざまな感情、その源泉である三年間のドラマを想像すると、胸がジーンとします。青春ですね。

「野球帽」の快作を、もうひとつ。アプローチはヅキーさんの訓と近いのですが、味わいはちょっと違う。詩のぶさんの一訓です。

まぁ、あれだ。
3年間お疲れさま。
は?泣いてねーよ!
お前の汗だろ!
  ――――野球帽

冒頭の「まぁ、あれだ。」が効いてますね。この野球帽の性格や心情、そして持ち主との関係までが、なんとなく伝わってきます。詩のぶさんは、言葉の使い方がとても巧い。その技術は、もうひとつの訓「帽子」でも遺憾なく発揮されています(「だから、どんと構えてろ/そのほうが似合う」、この語りは特に巧いなぁと思いました)。

シンプルだけど、実は深い。そんな夏秋さんの一訓も印象的でした。

上からの眺めは最高
   ――――帽子

無邪気で清々しいセリフにも聞こえるし、高みから物を言っているようにも聞こえるし、上をめざそうよと励ましているようにも聞こえる。ひと言に複数の印象が同居していて、とらえ方によって、いずれにもとれる。まさに言葉の妙。味わい深いですね。さりげなく「上」と「最高」を掛けてるところも巧いなぁ。

まるで歌詞のようなaliyさんの作品も魅力的。

僕が守ってあげる
君の顔 見られないように
僕が隠してあげる
君の顔 笑顔になるまで
きっと もうすぐ
上を向いて歩けるよ
      ――――帽子

メロディをつけたくなりますね。やさしさに満ちた、美しいバラードソングになりそう。

そして、うすた~さんさんの「野球帽」。この「帽子の裏側に書かれたメッセージ」という発想も素敵だなと思いました。

蛇足ながら、最後に僕も一訓(過去の作品ですが)。

第一印象で
頭ひとつ抜けるには、
相手を
ハッとさせなきゃ。
ちょっと頭を使ってさ。
―――― ハット

作者:お題:

(物々訓主宰/一筆)

※「自由部門」もありますので、ぜひそちらもご覧ください。