物々訓倶楽部

第33回 投稿作品【自由部門】

2018年1月20日

第33回募集(2017年10月15日~12月14日)に寄せられた「自由部門」の作品をご紹介します。ご投稿いただいた皆様、ありがとうございました!

山あり、谷あり。
何かを作るのって、
だいたいその繰り返し。
―――― 折り紙

作者:お題: 、

声を大にするのは簡単

まずは言葉を選び抜かなきゃ
―――― スピーカー

作者:お題: 、

逆立つ髪

浮き立つ心

さぁいこう
―――― ワックス

作者:お題:

朝より君は成長している。
―――― 歯ブラシ

作者:お題:

今日もイイね駒音
あれっ感触、ふっさふさ
キミんちのにゃんこと
『のっちゃだめ~』の声
―――― リビングの将棋盤

作者:お題:

やっと出来たボクの改良は
騎手やキミ達・馬の
ココロの痛みにも
ちょっぴり緩和できたらイイな
―――― 競馬騎手のムチ

作者:お題:

真夏の対局、午前中
羽織るキミは
ボクを渡した方々に
ありがとう見せたいと。

次は冬のタイトル戦がイイな
―――― 冬用の和服

作者:お題:

一筆選評

自由部門の一筆選は、3回連続で詩のぶさんが獲得しました。もはや「訓人」級です。

山あり、谷あり。
何かを作るのって、
だいたいその繰り返し。
   ――――折り紙

今作もお見事です。「折り紙」という題材も効いていて、大変深く美しい一訓となっています(物々訓づくりにも通じる訓ですね)。色とりどりの折り紙、それを丹念に折る人、そして完成した珠玉の作品が、次々と色鮮やかに心に浮かび上がります。余韻まで深く、美しい。快作です。ちなみに詩のぶさんのもう一つの訓「ネオンサイン」も印象的でした。ユーモアの中に深みを宿す佳作です。

ヅキーさんの「スピーカー」も味わい深い一訓でした。

声を大にするのは簡単

まずは言葉を選び抜かなきゃ
    ――――スピーカー

量より質、中身が大事。言葉を研ぎ澄ますのは大変な作業ですが、それを抜きにしてよいものは生まれない。詩のぶさんの「折り紙」同様、物々訓づくりにも通じる座右の訓ですね。

夏秋さんの「歯ブラシ」は、成長期の子の力強い生命力を感じる一訓です。

朝より君は成長している。
    ―――歯ブラシ

夏秋さん自身が成長期の中学三年生なので、自身のことを投影した作品なのでしょう。子供は日々、栄養をスポンジのように吸収して、心身ともに成長します。心の栄養という点では、うれしいことも楽しいこともツラいことも悲しいことも、すべてを栄養として吸収し、それを糧として、ほんの少しずつですが大人に近づいていきます。この歯ブラシは、そんな日々のちょっとした成長も見逃さない、愛情あふれる歯ブラシ。素敵ですね。

最後に、うすた~さんさんの「リビングの将棋盤」。

今日もイイね駒音
あれっ感触、ふっさふさ
キミんちのにゃんこと
『のっちゃだめ~』の声
――――リビングの将棋盤

うすた~さんさんが得意とする将棋訓です。物々訓は、「物」のセリフで名言(大切なこと、ちょっと深イイことなど)を綴ってみようという試みですが、この訓のように状況を描写することで、大切なことを伝える手法もあるのだなと思いました。普段と変わらない、平和な日常。それこそが大切な「幸せ」であり、かけがえのないものなのだと、この訓は言っているように思えます。全体のトーンもほのぼのしていて心地よいですが、個人的には、特に冒頭の「今日もイイね駒音」が清々しくて好き。パチンという澄んだ音が、心に響きます。含蓄のある一訓でした。

蛇足ながら、僕もうすた~さんさんにならって「将棋盤」で一訓。

板にマス目を刻むだけで、
無限の可能性やドラマが
生まれるなんて。
―――― 将棋盤

作者:お題:

(物々訓主宰/一筆)

「課題部門」もありますので、ぜひそちらもご覧ください。