物々訓倶楽部

第34回 投稿作品【課題部門】

2018年3月10日

第34回募集(2017年12月15日~2018年2月14日)に寄せられた「課題部門」の作品をご紹介します。ご投稿いただいた皆様、ありがとうございました!

お題:手袋

デート中は一休み

君、右手は任せたよ
―――― 手袋

作者:お題:

『手袋の反対、言ってみて』
ってなクイズ出すキミ
ん~っ
世代、判っちゃうよん
―――― てぶくろ

作者:お題: 、

他のやつじゃだめなんだよ
あいつじゃないとしっくりこない
君もいつか、そういう人に
出会うんじゃないかな?
その時はどうか大切にしてあげて
絶対に手を離さないで、ね
―――― 片方なくなった手袋

作者:お題: 、

どんなに寒い時だって
僕がしっかりと守ってあげる
君の温もりを感じながら
一緒にどこまでも歩いていこう
―――― 手袋

作者:お題:

温かさを
あなたの手元に
とどけたい。
―――― 手袋

作者:お題:

暖冬は困るんだナ
―――― 手袋

作者:お題:

ボクはキミの指先
温めるだけじゃなく
ヤル気もONにするんだ

フンばれっ
―――― 手袋

作者:お題:

一筆選評

今回の課題部門のお題は「手袋」。一筆選は、ヅキーさんの訓と、うすた~さんさんの訓とで悩みました。まったくタイプの異なる二訓で、どちらも甲乙つけがたい佳作だったのですが、最終的にヅキーさんの一訓に決めました。

デート中は一休み

君、右手は任せたよ
   ――――手袋

手袋も、恋人の手のぬくもりにはかなわない……冬空の下、仲よく手をつないで歩くふたりの姿が目に浮かびます。ロマンチック。でもその甘い雰囲気を前面には出さず、クールに表現しているところがニクイですね。逆に、カップルのホットな関係や、人肌のぬくもり、そして何より、この手袋の(実は)温かい心持ちが際立つような気がいたします。

次に、うすた~さんさんの一訓。思わず「ハイ」と手を上げてしまいました(笑)

『手袋の反対、言ってみて』
ってなクイズ出すキミ
ん~っ
世代、判っちゃうよん
    ――――てぶくろ

やはり手袋というと、温かいイメージや、左右で一対という特性から、ヒューマンな訓やロマンチックな訓が、比較的、主流なのかなと思うのですが、この訓は、そんな主流の逆をいくユーモア訓。クダけた調子もよいですね、この訓に合っていて。特に、最後の「よん」が効いてます。

『手袋の反対、言ってみて』……昔、言いました。いや今でも、いやいや先日も身内に言って苦笑されたばかりです(笑)この類の古典的ジョークって、つい言いたくなっちゃうんですよねぇ。他にも、「(今、何時?)おやじ でんぷん がびょう」とか、「この帽子ドイツんだ? オランダ」とか。身内以外には言わないのですが、たまに口をついて出そうになる時もあって、危険キケン(笑)僕は世代が判るのは構いませんが、場合によっては失笑を買う恐れも(笑)でも……なんか、好きなんですよねぇ。

詩のぶさんとstarさんの一訓も、独特の輝きを宿す、味わい深い佳作。

まずは、唯一無二のパートナーをモチーフにした、詩のぶさんの訓。

他のやつじゃだめなんだよ
あいつじゃないとしっくりこない
君もいつか、そういう人に
出会うんじゃないかな?
その時はどうか大切にしてあげて
絶対に手を離さないで、ね
  ――――片方なくなった手袋

「片方なくなった手袋」のセリフというところがミソ(話者の設定が秀逸!)。落ち着いた口調だけれど、そのひと言ひと言に、なくされたことへの哀愁と怒りが凝縮されているような……そんな心の叫びのようにも感じられて、ズシリと胸に響きます。逆に、落ち着いた口調だからこそ、余計、凄みを感じます。ポジティブな教訓ですが、実は、複雑な感情が根を張った、濃厚な訓。そんな気がいたします。巧い。

次に、ぬくもりに満ちた、starさんの一訓。

どんなに寒い時だって
僕がしっかりと守ってあげる
君の温もりを感じながら
一緒にどこまでも歩いていこう
        ――――手袋

冬の訓ゆえ、いっそうぬくもりが際立ちます。この訓のポイントは、「君の温もりを感じながら」。この一行が有ると無いとでは、雲泥の差。訓の濃度が大きく変わります。この手袋は、「君」を支える一方で、「君」に支えられている。お互いに手を取り合って、一緒にどこまでも歩いていきたい……そんな手袋の想いがひしひしと伝わってきます。この訓を読むと、手袋をはめること=手袋と手をつなぐこと、のように思えてきます。手袋は、まさに手のカタチをしていますので。温かい作風が持ち味のstarさん。今回の訓もとても素敵で、ホッコリしました。

さて、今回はこのあたりで失礼して、筆を置かせていただきます。作品をお寄せいただいた皆さん、ありがとうございました。またの投稿をお待ちしています。

(物々訓主宰/一筆)

※「自由部門」もありますので、ぜひそちらもご覧ください。