物々訓倶楽部

第37回 投稿作品【課題部門】

2018年9月15日

第37回募集(2018年6月15日~8月14日)に寄せられた「課題部門」の作品をご紹介します。ご投稿いただいた皆様、ありがとうございました!

お題:サンダル

若人よ

揃える間もなく

ダイブせよ
―――― サンダル

作者:お題:

脱ぎ散らかすほど

楽しいぜ2018夏
―――― サンダル

作者:お題:

今年の夏も楽しかったなぁ。
私まで日焼けしちゃった!
―――― サンダル

作者:お題:

ボクの名がつく
その香り

ふんわり
キミの浴衣から
ロックオンされたよ
―――― 隣のサンダル

作者:お題:

ペディキュアを塗った
その白く美しい肌を
夏の終わりには
小麦色の夏肌に
ミラクルチェンジ!
―――― サンダル

作者:お題:

アナタと長い付き合い
すっごく嬉しい
偶然、
気になる人と会ったら
視界から見えないにするの
ちょっと寂しい
―――― 白いサンダル

作者:お題:

一筆選評

今回の課題部門のお題は「サンダル」。一筆選は、ヅキーさんの一訓です。

若人よ

揃える間もなく

ダイブせよ
――――サンダル

我先にと元気よくプールにダイブする若者たちが目に浮かびます。照りつける太陽、派手な水しぶき、輝く肉体、はじける笑顔……若さムンムン、エネルギッシュ!さぁ、落ち着いてないで、若さを青春を思うぞんぶん謳歌しようよ!という青春賛歌。……ともとれますが、一方で、若者たちへの力強い激励訓ともとれます。サンダルを揃える間もなく飛び込むような「勢い」も、若いうちは大切だよという……(こちらですかね、メインテーマは!?)。「思い立ったが吉日、当たって砕けろ」的な生き方って、年を取るとなかなかできなくなりますからね。守るべきものが増えていくので。それにしても、「サンダル」をこう発展させるとは……発想がすごい。訓自体にも勢いがあって、読後感も爽快。お見事です。

夏のきらめきを封じ込めた、yukkomomさんの一訓も素敵。

今年の夏も楽しかったなぁ。
私まで日焼けしちゃった!
    ――――サンダル

はきつぶしたサンダルの黒ずみを「日焼け」と表現したのか、本当に日焼けして変色しているのかは分かりませんが、とにかくこのサンダルは、持ち主と一緒に夏を満喫したようですね。いろんなところへ行って、いろいろいっぱい楽しんで……そのきらめきに満ちた時間がギュッと凝縮されているようで、わずか二行なのにドラマを感じます。奥行きのあるドラマを。

お次は、日本情緒が香り立つ、うすた~さんさんの一訓。

ボクの名がつく
その香り

ふんわり
キミの浴衣から
ロックオンされたよ
――――隣のサンダル

「ボクの名がつく/その香り」とは、きっと「サンダルウッド(白檀)」のことですね。扇子にもよく使われる、上品で甘くてちょっと懐かしい、あの香り。それが、お隣さんの浴衣から、ふんわり。夏祭りか、花火大会か……そこにあるのは、日本情緒あふれる情景。ちょっと懐かしい。でも「下駄」ではなく「サンダル」というところや、「ロックオン」という表現は、けっこう今っぽい。サンダルウッドの香りと一緒に「ふんわり」浮かび上がる、新旧溶け合う「日本の夏」。お、クールジャパンな感じ(笑)この訓を支配するサンダルウッドの香りを見出した、うすた~さんさんの眼力に拍手。「ふんわり」「ロックオン」のギャップある組み合わせも新鮮です。

最後は、色彩の余韻が美しい、starさんの一訓。

ペディキュアを塗った
その白く美しい肌を
夏の終わりには
小麦色の夏肌に
ミラクルチェンジ!
  ――――サンダル

きれいですね。色彩が鮮やかに心に残る、絵画のような一訓。「ペディキュア」の色が明記されていないところも、いいですね。自由に想像できるので(ちなみに僕は、華やかなピンクを想像しました)。そして、その色彩美と絡み合うようにして作品に息づいているのが、ときめき。夏を迎える、胸の高鳴り。肌が小麦色になるまでに、どんなことがあるだろう?どんな素敵なことが?そんな(サンダルと持ち主両方の)胸の高鳴りが、そこはかとなく伝わってきます。「ミラクルチェンジ!」という表現は、そんな気分を示唆する絶妙な表現。

作品を拝読して強く思ったのは、あぁ、サンダル訓は夏がはじまる前に発表したかったなぁ、ってこと。すみません、完全に課題設定のタイミングを誤りました(笑)

さて、今回はこのあたりで失礼して、筆を置かせていただきます。作品をお寄せいただいた皆さん、ありがとうございました。またの投稿をお待ちしています。

(物々訓主宰/一筆)

※「自由部門」もありますので、ぜひそちらもご覧ください。