物々訓倶楽部

第38回 投稿作品【課題部門】

2018年11月10日

第38回募集(2018年8月15日~10月14日)に寄せられた「課題部門」の作品をご紹介します。ご投稿いただいた皆様、ありがとうございました!

お題:フォトフレーム(写真立て)

あなたは
逢ったことはないと思うけれど
脈々と受け継がれているの
あなたの身体の魂は
この小さなフレームの中の
一枚とつながっているの
―――― フォトフレーム

作者:お題: 、

昨日けんかしたって?
僕の中にいる彼はいつも笑ってく
れてるよ。
さぁ、勇気を出してあやまってご
らん。
―――― フォトフレーム

作者:お題: 、

一筆選評

今回の課題部門のお題は「フォトフレーム(写真立て)」。一筆選は、ヅキーさんの一訓です。

最初は幼いあなただけ

やがて恋人や家族が加わって

最期はお別れのお手伝い
     ――――写真立て

わずか数行の中に、人の一生をドラマチックに凝縮した快作です。淡々とした語り口ですが、味わいは濃厚。まるで映画のエンドロールのように、幼い頃からの思い出写真がフレームの中を通り過ぎていく様が頭に浮かびます。普段はそれほど気に留めることのない「写真立て」……主役の「写真」をけなげに支えるこの名脇役が、人の人生に寄り添う存在にもなり得るのかと思うと、ちょっと感慨深いですね。選び抜いた写真立てを、一生、大切に使っていく。そういうのもいいなと思いました。

starさんの「フォトフレーム」も、ヅキーさんの訓に負けず劣らず濃厚な一訓です。

あなたは
逢ったことはないと思うけれど
脈々と受け継がれているの
あなたの身体の魂は
この小さなフレームの中の
一枚とつながっているの
   ――――フォトフレーム

ご先祖様たちが紡いできた長い長い歴史の果てに、今の自分がいる。そして、その心身には確かに、ご先祖様とその歴史が息づいている。こういうことって普段はあまり考えないので、自分が歴史の連なりの中に存在しているという意識などなく生きていますが、たまには立ち止まって、こういうことに思いをめぐらすことも大切ですね。自分という存在と向き合うよい機会になりますし、何よりロマンがあります。カラダを流れる血が、歴史の大河のように思えてきたりして……。starさんの一訓、今回も素敵でした。

お次は、starさんの訓同様「ご先祖様」をモチーフにした、うすた~さんさんのファンタジー訓。

ついつい
大あくびしちゃった

やべっ
玄孫ちゃんがガン見してるっ
――――ご先祖様の写真立て

ビジュアルが浮かびますね、写真立ての中で大あくびする、セピア色のおばあさん(おじいさん?)。ずっと写真立ての中に収まっているわけですから、そりゃ、あくびのひとつやふたつ、したくなりますよね(笑)でも、そのほのぼのしたユーモラスなシーンの背後には、しっかり、子孫を見守るご先祖様の温かい視線を感じます。素敵ですね。

甘酸っぱさとやさしさが溶け合う、yukkomomさんの作品も印象的。うすた~さんさんやstarさんの訓とは対照的に、「今」が収まった写真立ての一訓です。

昨日けんかしたって?
僕の中にいる彼はいつも笑ってく
れてるよ。
さぁ、勇気を出してあやまってご
らん。
    ――――フォトフレーム

ラブソングのようですね。勇気をくれる写真。その大切な一枚を収めたフォトフレームの温かい励ましが沁みます。内容のわりに、不思議と爽やか。「ほろ苦さ」は感じず、むしろ「甘酸っぱさ」を感じました。素敵です。

読み直したら、今回は「素敵」連発ですね(笑)ボキャブラリー不足!? いやいや、それだけ素敵な訓が多かったということで(笑)

さて、今回はこのあたりで失礼して、筆を置かせていただきます。作品をお寄せいただいた皆さん、ありがとうございました。またの投稿をお待ちしています。

(物々訓主宰/一筆)

※「自由部門」もありますので、ぜひそちらもご覧ください。