物々訓倶楽部

第40回 投稿作品【自由部門】

2019年3月10日

第40回募集(2018年12月15日~2019年2月14日)に寄せられた「自由部門」の作品をご紹介します。ご投稿いただいた皆さん、ありがとうございました!(作法から外れている訓がいくつかあり、それらは残念ながら公開できませんでした。ご了承ください)

大丈夫、僕に任せて。
君の足跡、大地に残すよ。
一歩、一歩。
―――― アイゼン

作者:お題:

いなす いぶす 囲い
かたいだけじゃない
しなやかさ
持ち合わせてます
―――― 将棋の駒・銀

作者:お題:

白と黒って、葬式じゃないんだか
ら。
―――― ピアノ

作者:お題:

一筆選評

課題部門の投稿がグンと増えた一方で、相変わらず自由部門の投稿数は寂しい状況ですが、その中でもキラリと光る快作を発見。ここのところ一筆選の該当作なしがつづいていましたが、今回はこの訓を選びました。うすた~さんさんの十八番、将棋訓です。

触れたクチビル
ヒンヤリとしてる

キミが呑んだのは
決意なんだね
――――棋士横の湯呑み

緊迫した勝負の様子と、その中で孤軍奮闘する棋士の心情が、リアルに伝わってきます。孤独の中で戦う、勝負師。彼らは、次々に押し寄せる問題と向き合い、悩み、迷いながら、ひとつひとつ決断を下し、前進していきます。自分を信じて。

こうしたことは、勝負師に限らず、多かれ少なかれ、我々みんなが日常的に経験しています。生きていくということは、その前進の積み重ねとも言えます。

人は独りでは生きられませんが、孤軍奮闘を避けて通ることもできません。たとえ誰かの助けがあったとしても、最終的には自分自身で判断し、行動しなければならない。

日々、いろんなことが起こります。その都度、できる限り最善の決断を下し、うまく対処していくには、やはり自分を磨きつづけることが大切なのでしょう。その努力が、自信の源泉にもなる。この訓を読んで、改めてそんなことを考えました。

yukkomomさんの「アイゼン」も、うすた~さんさんの「棋士横の湯呑み」同様、臨場感があります。しかも“噛めば噛むほど味が出る”。「棋士横の湯呑み」とあわせて人生訓として読むと、その味わいが、より深まります。

大丈夫、僕に任せて。
君の足跡、大地に残すよ。
一歩、一歩。
――――アイゼン

凍てついた険しい雪山の風景と、そこに響くガツ、ガツという力強い足音が、頭に広がります。どんなに過酷な環境でも、ガッツと知恵で前進をつづける人々。その生命力の輝きが、「アイゼン」の温かいセリフの行間から滲み出ています。

先ほども書いたように、生きていくうえで孤軍奮闘を避けて通ることはできそうにありません。でも、人は孤立しているわけではない。時には誰かの助けを借りることもできるし、道具を活用することだってできます。この「アイゼン」のように。

人は完全ではないし、弱さも抱えています。でも、なんだかんだで、たくましい。人生、楽じゃないけど、その分、思いっきり楽しんでやる。そんなふうに、タフ&ポジティブに生きられたらいいなと思います。

(物々訓主宰/一筆)

※「課題部門」もありますので、ぜひそちらもご覧ください。