物々訓倶楽部

第40回 投稿作品【課題部門】

2019年3月10日

第40回募集(2018年12月15日~2019年2月14日)に寄せられた「課題部門」の作品をご紹介します。ご投稿いただいた皆さん、ありがとうございました!

当コーナーでのご紹介は、課題部門、自由部門それぞれ20訓までとさせていただいてます。ご紹介できなかった訓の作者各位、ごめんなさい! ただ、ここでご紹介できなかった訓も、物々訓サイトでは公開していますので、ぜひご覧ください。サイト内の検索窓に、作者名や物の名前を入力して検索すると見つけやすいです。なお、作法から外れている訓がいくつかあり、それらは残念ながら公開できませんでした。ご了承ください。

お題:加湿器

『お母さんの美顔器と
ど~違うの』
小さなカレの問いに
お父さん
『・・ほぼ親戚』
絞りだしたね~
―――― 加湿器

作者:お題: 、

潤す為に、私が乾く
乾いた私をあなたが潤す。
もちつもたれつ
この世はめぐる。
―――― 加湿器

作者:お題: 、

あなたがくれる
お水でわたしは生きている
わたしもあなたを潤す
力になりたい
―――― 加湿器

作者:お題: 、

除湿機なんて大嫌い
そんな自惚れの冬が終わり
やがて梅雨どき
ごめんね除湿機
活躍応援するからね
―――― 加湿器

作者:お題: 、

俺は冬に重宝される。
求められるところがあれば
そこで頑張るんだ。
求められるうちが、華だ。
―――― 加湿器

作者:お題: 、

喉を潤して笑い声を。
肌を潤して笑顔を。
広げているのはスチームだけじゃ
無いんだよ。
―――― 加湿器

作者:お題: 、

妻の二倍、三倍
確実に働けども
あることさえ
忘れられてしまう
儚き存在
加湿器
―――― 加湿器

作者:お題: 、

乾ききったあなたの心と体。
思いっきり深呼吸してごらん。
ゆっくり、吸って、吐いて。
ほら、あなたは潤いに包まれた。
私がいる限り、あなたは大丈夫!
―――― 加湿器

作者:お題: 、

エアコンつけすぎよ。
湿度が上がれば
温度も上がるの。
わたしがいれば
財布も潤うわ。
―――― 加湿器

作者:お題: 、

いざ出陣だ!
一気に広がれ!
―――― 加湿器

作者:お題: 、

一日一日、歳老いてゆく。
加湿器でアンチエイジング。
寝て若返るなんて
そんなはずないのに。
―――― 加湿器

作者:お題: 、

加湿が出来るのは当たり前。
空気をきれいに出来ること、
ボディのコンパクトさも必要だ。
今の時代を生き抜くには
マルチなスキルが求められる。
大変だけど、頑張るぜ。
―――― 加湿器

作者:お題: 、

フィルターお手入れランプが
点灯している。
お母さんが気づいて、掃除機で
埃を取ってくれた。
自分のことを見てくれている人
って、いるんだな。
―――― 加湿器

作者:お題: 、

『やさしさ、不足してる』
うつむくキミ
カゼ気味だね
今夜、ゆっくり
温か~くして、お休み
―――― 加湿器

作者:お題: 、

加湿、加湿と言うけれど
古い家は加湿より結露
朝は窓がびしょ濡れ
―――― 加湿器

作者:お題: 、

み、水を・・、早く!
ふう~間に合った。

このスリルがたまらないんだよな

―――― 加湿器

作者:お題: 、

今年は赤ちゃんもいるのね
潤し甲斐があるわ
お水はこまめに入れてよね
私がこの家を守るんだから
―――― 加湿器

作者:お題: 、

あなたには
健康でいてもらいたい
綺麗でいてもらいたい
わたしがあなたを包むから
少しは助けに
なれるかな
―――― 加湿器

作者:お題: 、

一筆選評

今回は、課題部門への投稿が急増しました。お、これはもしや!?と思い、調べてみたら……やはり『公募ガイドONLINE』のおかげでした! 以前も一度、募集情報を取り上げてくださり、その時も投稿がグンと増えたんですよね。いま募集している課題部門(お題:バッグ)も取り上げていただいたようで、続々と作品が寄せられています。『公募ガイドONLINE』に感謝。ありがとうございます。

そして、作品をお寄せいただいた皆さん、ありがとうございました。特に賞品があるわけでもない物々訓の募集に、たくさんの方が興味を持ってくださったこと、心からうれしく思います。

ここでの紹介は課題部門、自由部門それぞれ20訓までという決まりがあるため、お寄せいただいたすべての訓(物々訓では、作品を「訓」とも呼びます)は紹介できませんでした。紹介できなかった訓の作者の皆さん、ごめんなさい!

それでは選評に移りましょう。僕の判断や解釈で書いているため、もし作者さんの意図と違っていたら、ご容赦を。

今回の課題部門のお題は「加湿器」。一筆選は、村田直美さんのユーモア訓です。この訓は、なんというか……逆説的に教訓になっているというか……かなり異色なのですが、それゆえ印象が強く、思わず惹きつけられました。このおとぼけぶり、サイコー。

汗ばむわ~。冬は湿気が多いのよ
ね。
        ――――加湿器

確かに湿気は多いのよね、アナタがいますから(笑)人間界でも、実際にこんなことあるような気がして……。そう、例えば……ひとりでペラペラしゃべりまくってた人が、帰り際に「みんな、おとなしいねぇ」なぁんて言ったり。灯台下暗しというか、なんというか。自分のことって、意外と分からないものだから、ちょっと怖い。気をつけよーっと。

一方、うすた~さんさんのユーモア訓も、目のつけどころが個性的。

『お母さんの美顔器と
ど~違うの』
小さなカレの問いに
お父さん
『・・ほぼ親戚』
絞りだしたね~
   ――――加湿器

ほのぼの、クスッ。でも背後には、ひとつの技術を応用して積極的に市場を増やす、タフな企業の姿が透けて見えたりして。そのギャップもおもしろいなぁと。

よつばさんの訓も印象的。

念のため脇役しつつ主役級
     ――――加湿器

「念のため」っていうのが、いいですね。かわいらしくもあり、したたかでもある。自ら「主役級」と言い放つところをみると、控えめを装ってはいるものの、内心、自信満々? 能ある鷹は爪を隠す。

次に、もちつもたれつの関係をテーマにした、この二訓。

(与侑さん作)
潤す為に、私が乾く
乾いた私をあなたが潤す。
もちつもたれつ
この世はめぐる。
    ――――加湿器

(岡部綾香さん作)
あなたがくれる
お水でわたしは生きている
わたしもあなたを潤す
力になりたい
     ――――加湿器

客観的な表現を生かした与侑さんの訓は、格言の趣。感謝と誠意が息づく岡部綾香さんの訓は、やさしい趣。テーマは同じなのに、印象はたいぶ違います。こうしてならべて拝読すると、実に味わい深い。

世の中、もちつもたれつ。考えてみれば、それは道具との関係でも同じ。手をかけて大切に使えば、長くしっかり働いてくれる。しっかり働いて役立ってくれれば、手をかけて、大切に長く使おうと思う。ぜひ、道具ともよい関係を築きたいものです。

最後に、春爺さんの一訓を。

除湿機なんて大嫌い
そんな自惚れの冬が終わり
やがて梅雨どき
ごめんね除湿機
活躍応援するからね
     ――――加湿器

調子にのって、つい自惚れちゃって、後悔する。こういうことって、ありますよね。僕も経験あります。そういう時は、とっても恥ずかしい気持ちになって、あぁこれからは謙虚を心掛けよう、と強く思うわけです。そしてなぜか、年を重ねるごとに、そういう思いは強くなっていくような気がします、僕は。こういうのも、人間が丸くなるってことなのでしょうかね。

この他にも素敵な訓がいろいろありましたが、今回はこのあたりで失礼して、筆を置かせていただきます。作品をお寄せいただいた皆さん、ありがとうございました。じっくり堪能させていただきました。またの投稿をお待ちしています。

あ、そうそう。蛇足ながら、最後に僕も一訓。

こんなに湿っぽいのは、
君のせい。
さぁ涙をふこう。
やがて君にも春がくる。
―――― 加湿器

作者:お題: 、

(物々訓主宰/一筆)

※「自由部門」もありますので、ぜひそちらもご覧ください。