第42回募集(2019年4月15日~7月14日)に寄せられた「課題部門」の作品をご紹介します。たくさんの作品投稿、ありがとうございました!
当コーナーでの作品紹介は、課題部門、自由部門それぞれ20訓まで(物々訓では、作品を「訓」とも呼びます)とさせていただいています。紹介できなかった訓の作者さん、ごめんなさい! ただ、ここで紹介できなかった訓も、物々訓サイトでは公開していますので、ぜひご覧ください。サイト内の検索窓に、作者名や物の名前を入力して検索すると見つけやすいです。
当ページの下部に、主宰・一筆による選評がありますので、そちらもぜひご覧ください! なお選評は、一筆の解釈・判断で書かれているため、もし作者さんの意図と違っていたら、ご容赦ください。
お題:定規
新しい可能性はちょびっと背伸び
した先にある
―――― 定規
一ミリしかずれていない
と思うか
一ミリもずれている
と思うか
―――― 定規
ひとりでは
ぐらついて歩けない。
わたしと一緒なら
あなたの思う
まっすぐな道を
進んでいけるはず。
―――― 定規
僕のは、ピストル
先生のは、マシンガン
あのころ、無邪気だったよ。君は
・・・・・
―――― 三角定規
大事なのは
直進するだけではなく
正しい方向に進むことだ。
―――― 定規
一直線だけが人生でなし
たまにゃぐにゃりと寄り道を
―――― 定規
誰のメモリーにも刻まれない
だけど自分は確かに知ってる
プロローグとエピローグ
そこに本当の自分があったりして
…
―――― 定規の目盛がついていない端っこ
作者:来野 怜志央お題:定規の目盛がついていない端っこ 、文房具
メジャーやアプリとの差別化ポイ
ントを考えなければ・・。
―――― 定規
この線みたいに、真っ直ぐな人間
になれよ。
―――― 定規
僕、
定規として使われる事
減った
―――― 定規
私が測れるのは形のある物だけ
あなたの可能性までは測れない
―――― 定規
俺じゃ計れないことも、人生には
多いぜ。
―――― 定規
僕が使われるたびに、僕は君の器
量も測ってるんだよ
―――― 定規
小さいけど
尖っています
―――― 三角定規
君の性格までは真っ直ぐに出来な
いよ。
―――― 定規
使い方によっちゃ凶器にもなっち
まう。信用してるぜ、だんな。
―――― 定規
あなたが目盛に付けた赤ペンの跡
が
口紅のようで
私はそれを誇らしく思う
―――― 定規
今までよう耐えたわぁ、あのバカ
ぼんの工作に。今は傷だらけでお
母ちゃんの筆箱の中、偶に寸法取
りするけど、居心地ええわぁここ。
あっこらっ!お父ちゃん、背中に
入れんといて!
―――― 定規
キミがボクを使う
この仕事
お父さんの夢の1つ
喜び、隠せないみたい
―――― 三角スケール
気持ちは
推し量れないが
寸法なら測れる
―――― 定規
一筆選評
今回のお題は「定規」。快作多数で、一筆選に選びたい訓が複数ありました。作品をお寄せいただいた皆さん、ありがとうございました!
結果、一筆選に選んだのは、赤猫永宜さんのこの訓です。
新しい可能性はちょびっと背伸び
した先にある
――――定規
「ここで満足せず、もうちょっとがんばってみよう」、そんな風に思わせてくれる素敵な一訓。座右の銘にしたい(笑)「ちょびっと」が効いてますね。この愛嬌のある表現のおかげで、堅苦しい印象になることもなく、メッセージが鮮やかにストンと心に落ちてきます。拍手。
次は、水曜さんの一訓。
一ミリしかずれていない
と思うか
一ミリもずれている
と思うか
――――定規
神は細部に宿る。職人気質、いいなぁ……と、初見ではそう思ったのですが、何度か読んでいるうちに、いや、そういうことでもないのかなぁと思い直しました。どちらの一ミリのとらえ方がいいとかどうとか、そういうことでもないのかなぁと。一ミリへのこだわりも、時と場合によりけり。例えば……。一ミリの世界から広がる思索。味わい深い快作です。
次は、starさんの一訓。
ひとりでは
ぐらついて歩けない。
わたしと一緒なら
あなたの思う
まっすぐな道を
進んでいけるはず。
――――定規
定規は、まっすぐ我が道を行くための支え、伴侶。素敵ですね、この発想。まるで、定規流のプロポーズのようなセリフ。行間から、やさしさが滲み出ています。
次は、yukkomomさんの一訓。
僕のは、ピストル
先生のは、マシンガン
あのころ、無邪気だったよ。君は
・・・・・
――――三角定規
僕も、昔やったような気がします。三角定規を手に「バンバン!」「ダダダッ!」なぁんて。いろんな物が、遊び道具にもなった幼少期。でも、年を重ねるにつれて、無邪気な遊び心や茶目っ気は次第に薄れていく。そして、道具たちは「遊び」の兼任を解かれ、本業に集中するようになっていく。みんな、分別をわきまえるようになり、妙にまじめになっていく。それが成長する、大人になるってことなのかもしれません……が、なんだかちょっぴり寂しい気もします。せめて遊び心は、いくつになっても隠し持っていられるといいな。そんな風に思います。
次は、来野 怜志央さんの一訓。
大事なのは
直進するだけではなく
正しい方向に進むことだ。
――――定規
これぞと思った道を一直線。でも、その道は果たして正しい方向へ向かっているのでしょうか? 大事なのは、まっすぐ、正しい方向に進むこと。でも、正しい方向に進んでいるのかどうか、いや、それ以前に、正しい方向って何なのかさえ、当人には判断がつかないこともありそうです、案外。でもだからこそ、たまには立ち止まって、冷静に自分が走っている道の彼方を眺めてみることも大切。この訓は、そんなことを考えさせてくれました。
まぁ、ヅキーさんの訓にあるように、寄り道するのも悪くない(笑)
一直線だけが人生でなし
たまにゃぐにゃりと寄り道を
――――定規
寄り道が糧となり、人生がより豊かになるかもしれません。生き方はいろいろ。あなたは、どんな生き方をしたいですか?
(物々訓主宰/一筆)
※「自由部門」もありますので、ぜひそちらもご覧ください。
※課題部門、自由部門ともに、作品募集をしばらくお休みいたします。作品投稿を楽しみにしてくださっている皆さん、すみません。ご了承のほど、どうぞよろしくお願いいたします。(この間に作品をご投稿いただいても掲載はできませんので、ご了承ください)