物々訓倶楽部

第2回 投稿作品【課題部門】

2012年9月3日

第2回募集(2012年6月15日~8月14日)に寄せられた「課題部門」の作品をご紹介します。

お題:団扇(うちわ)

新しい風は、
がんばってる人から生まれる。
―――― 団扇

作者:お題:

風を起こそう。
ともに手をとって。
―――― 団扇

作者:お題:

クールになりたきゃ
よそ行きな。
バタバタするのが
仕事だぜ!
―――― 団扇

作者:お題:

イメージしてごらん。
僕の役割は涼しさだけ?
イメージしてごらん。
イメージの中のぼくを。
―――― 団扇

作者:お題:

薄っぺらいやつだなんて、
そんなことは言わせないよ。
中身はけっこう、
芯が通ってるんだから。
―――― 団扇

作者:お題:

結局ね、センスはないけど
骨のあるあいつらがね、
ここの空気を
良くしてくれてるの。わかる?
あ、うちわネタで
ごめんなさないね。
―――― 団扇

作者:お題:

送る風は
愛情満点。
たとえ相手が
炭火でも。
―――― 団扇

作者:お題:

結局、最後は人間力
待ってるだけじゃだめだよ。
風は自分でおこさなきゃ!
―――― 団扇

作者:お題:

いつもは涼しくすることが仕事。
アイドルのコンサートでは、
熱くすることが仕事。
―――― 団扇

作者:お題:

こどもは風の子。
わたしは風の母。
―――― 団扇

作者:お題:

団扇と、扇子。
どっちがセンスいいの?なんて
うちわ揉めしてる場合じゃない
でしょ。暑いんだから。
―――― 団扇

作者:お題:

扇げば尊し。
―――― 団扇

作者:お題:

節電やエコの鏡だって?
いやいやいやいや、
私なんて・・・
あっ
また涼しくなっちゃいました?
―――― 団扇

作者:お題:

俺に頼らず、
風を起こしてみろよ。
―――― 団扇

作者:お題:

扇ぐと聞こえるのは何?
蝉の声?
僕には夏の思い出が聞こえる。
―――― 団扇

作者:お題:

少し扇ぐと心地よくて、
たくさん扇ぐと暑くなる。
何だか身に覚えがあるなあ。
―――― 団扇

作者:お題:

団扇あおいで、風が吹く。
風が吹けば桶屋が儲かる。
誰も儲からないけれど、
みんなであおげば、世が変わる。
―――― 団扇

作者:お題:

なあ、
下敷きよりいいだろ?
―――― 団扇

作者:お題:

夏が一番!
一年中 働きたいが
年間十カ月の骨休み人生。
今が旬の私のファンも
最近ふえてきた。
彼岸までがんばろうニッポン!
―――― 団扇

作者:お題:

一筆選評

今回の「課題部門」は、「自由部門」共々素敵な訓がいっぱいで、一筆選にどの一訓を選ぶか非常に悩みました。中でも、一閃さん作「新しい風は、/がんばってる人から生まれる。」と、後援会池の会さん作「イメージしてごらん。/僕の役割は涼しさだけ?/イメージしてごらん。/イメージの中のぼくを。」は特に一筆の心に響き、最後までどちらの訓を選ぶか悩みました。

一閃さんの訓は、シンプルにして味わい深く、力強い一訓。後援会池の会さんの訓は、独特の語り口で、心を風情で満たす一訓。

結果的に、一筆選には一閃さんの訓を選ばせていただきました。

「団扇」が語る言葉として味わうと、そのシンプルな言葉の背景にいろんなものが見えてきます。パタパタと「団扇」をあおぐ手が見えます。そこから生み出される風は、機械から自動的に送り出される無機質な風とは違います。その風には、人の「情」が宿っています。人が何らかの意思を持って手を動かすからこそ生まれる、人間的な風です。がんばってあおぎ続ければ、風は生まれ続けます。あおぐのを止めれば、風も止まってしまいます。そうやって生み出された風は、それぞれ、その風ならではの価値を持つ。そう思えてきます。

シンプルにして味わい深く、力強い。一閃さんの訓は、まさに「団扇」の風そのもののような気がいたします。

この他にも、個性的な秀作がいっぱいです。気骨あふれる、小僧さんの一訓。「団扇」にまつわることを洒落を交えつつ網羅した、PCC会員004さんの力作。イナセでかっこいい、糸旦さんの一訓、思わずクスッと笑ってしまう、KeyManさんの楽しい一訓。「団扇」のささやかな風をスケールの大きな話に巧みにつなげた、aririnさんの一訓。ユーモアあふれる、ふぁいたさん作「送る風は/愛情満点。/たとえ相手が/炭火でも。」。気概を呼び覚ますnamiさん作「俺に頼らず、/風を起こしてみろよ。」などなど。いやあ、どの訓も味わい深いなぁ、と感じ入った次第でございます。

皆さんも、皆さんなりの感性で、ぜひ各作品を味わってみてくださいませ。(一筆)