わずか1年ちょっとの間に快作を連発、目を見張る活躍ぶりの詩のぶさんを、2018年3月付けで「訓人」に認定。ささやかながらオリジナル落款ゴム印と訓人認定証を贈りました。
訓人とは、物々訓プロジェクトが公認した作家に与えられる称号で、詩のぶさんが第八号となります(訓人認定については、当頁の最後をご覧ください)。
詩のぶさんは、2017年2月(第29回募集)から作品投稿を開始。いきなり課題部門で一筆選を獲得し、その才能を見せつけました。その後、毎回、快作を投稿いただき、現在までに、課題部門で3回、自由部門で4回、合計7回も一筆選を獲得しています。まさに破竹の勢い!
その詩のぶさんから、今回メッセージをいただきましたので、ここでご紹介いたします。
【詩のぶさんからのメッセージ】
この度は、訓人に選んでいただきありがとうございます。
私と物々訓との出会いはちょうど去年の今頃でした。その時の課題が「花瓶(花瓶に属する物ならなんでもOK)」で、目の前にあったコーラの瓶を見て「これが物を言うとしたら…」とぼんやり考えながら初めての訓を作ったのを覚えています。
それ以来、何時でも何処でも出来る趣味として、いつも楽しく取り組ませていただいています。課題を見るたび「ああ、無理、思いつかない…」と毎回、本当に毎回嘆かされていますが、身の回りのモノをいつもと違った目で捉え直す良い機会と思って、課題部門・自由部門ともにこれからも程好く(?)悩まされながら、楽しく続けていこうと思います。
物々訓は沢山の人が関われば関わるほど、面白さ、奥深さが増していく文芸だと感じています。運営されている物々訓プロジェクトの皆様、他の投稿者の皆様に、この場をお借りして感謝申し上げます。
これからもどうぞよろしくお願いいたします!
詩のぶさん、大変うれしいメッセージを、ありがとうございました。これからも作品を楽しみにしています!
最後に、詩のぶさんのこれまでの投稿全作を一挙公開。多彩な“詩のぶワールド”を、たっぷりお楽しみください!
物々訓主宰・一筆(物々訓プロジェクトを代表して)
【詩のぶさん投稿全作】※最新の第34回募集分から遡って掲載。
広く浅く
じゃなく、
狭く深く
愛したいの。
―――― 虫眼鏡
すぐぺこぺこ頭下げる奴に限って
奥歯噛み締めてたりするもんだ
そんなに強引に首を縦に振らせて
いつか手を噛まれても
文句ないよな?
―――― ホチキス
身を粉にしてでも伝えたいことが
この世界には沢山ある
君達にはまず
それに気がついて欲しいんだ
―――― チョーク
他のやつじゃだめなんだよ
あいつじゃないとしっくりこない
君もいつか、そういう人に
出会うんじゃないかな?
その時はどうか大切にしてあげて
絶対に手を離さないで、ね
―――― 片方なくなった手袋
忠告はしたからな?
―――― 一時停止の道路標識
ぽっちゃりくらいがちょうど良い
―――― 財布
強引さも、たまには必要
―――― 瓶の蓋
しりとりで負けられない時には
私を思い出してくださいね
―――― 地球儀
個性だしてもいいですか
―――― 地球儀
表裏ないタイプだ、って
自分では思ってるんだけど
―――― 地球儀
ツイてることばかりじゃないさ
―――― ネオンサイン
山あり、谷あり。
何かを作るのって、
だいたいその繰り返し。
―――― 折り紙
同じ目線で物事を見てやるし
いざというときは、俺が一緒に
お前の膝より低く頭を下げてやる
情けない面隠す手助けもしてやる
だから、どんと構えてろ
そのほうが似合う
―――― 帽子
まぁ、あれだ。
3年間お疲れさま。
は?泣いてねーよ!
お前の汗だろ!
―――― 野球帽
気合入れてるところ悪いけど
私は絶対あなたより先に
彼の唇を奪うからね
―――― ルージュ
貴女に釘付け
―――― ピアス
俺には俺の道がある
そう簡単には流されないぜ
―――― 橋
手を繋ぐ
それだけで伝わることも
きっとある
―――― 電信柱
どうか、たくさん連れだして
その思い出で染めて
―――― ハンカチ
今日の君は、
えらい取り澄ましているけれど、
本当の君はおてんばで、
泣き虫で、
忘れんぼだ。
僕が保証する。
―――― 膝に置かれたハンカチ
作者:詩のぶお題:膝に置かれたハンカチ
何かをすくうために
生まれてきたんだけどなぁ
―――― 匙
あのね、
そうやってそこから
眺めてるだけじゃ、
見える世界は
変わらないのよ?
―――― 窓
僕に掴まれるようになるまでは
誰かとちゃんと手を繋いでいて
そして
僕に掴まれるようになったら
今度は誰かの手を
しっかり握ってあげるんだよ
―――― 吊り革
まずは形から入ってみるのも
悪くないと思うよ
―――― 万年筆
インクなら足りています
渇望しているのは
あなたの言葉なんです
―――― 万年筆
長生きの秘訣ねぇ
毎日よく喋ることかねぇ
―――― 万年筆
誰か、
私を解き放って
―――― 紐パンツ
これはこれで
味があるだろ?
―――― 古いかき氷機
歯医者は怖いから嫌だぁ?
行かせてもらえるだけ
ありがたいと思え!
―――― ノコギリ
立ち仕事で
足が棒のようだ
―――― 案山子
僕がいないと締まらないだろう?
―――― くつ紐
王子様と薔薇の花束を待ってる?
それより、
道端のタンポポと僕から
始めてみない?
―――― コーラの空き瓶
※訓人認定は、下記の内容を総合的に判断して行います。
- 作品の量と出来栄え
- 「一筆選」への選出数(一筆選=作品募集にお寄せいただいた訓の中から主宰・一筆が選ぶベスト訓)
- 物々訓参加歴 など