訓友来訪【第13回】

河尻亨一さん編集者

2014年3月28日

なんかミステリアスなんですよね、ボタンって。そう言えば子供の頃からボタン付きの服着るのが苦手でして…。かけ違えては周囲の失笑を買っておりました。機械操作もかなりダメで、そっちのボタンもついヘンなとこ押してしまうの癖ありです。

そもそも服のボタンと機械類のボタンがなんで同じネーミングなのだろう?(ともに英語で“button”)。ふと気になって調べましたところ、これは古代ゲルマン語の“boton”に由来するらしい。もともと「つぼみ」という意味だそうです。

嘘かホントかわかりませんが、太古には布と布をつなぐ留め具としてリアルに花のつぼみを使っていたとか。中世ヨーロッパではどえらくゴージャスなボタンも数々作られ、お金持ちのステータスツールだった模様であります。「どや? オレ様のこのボタン」と自慢し合ってたんでしょう。

そいつがポルトガル語の“botão”として鉄砲とともに伝来、我が国では明治維新前後にポピュラーな言葉として定着したそうだ。それもそのはず和服にボタンはありませんし、電動の機械類もあまりなかったでしょうから。

おっと、肝心のことが不明でした。布と布をつなぎ留めるボタンがなぜ、そしていつ頃スイッチのほうにも使われるようになったのか? しかし、その謎はグーグル先生もご存知ないと言いますから想像するほかありますまい。

まあシンプルに考えると、丸こい形が似てるからでしょうか? でも、ボタンをオンして「つぼみ開花!」なニュアンスまでも含まれてるとすれば……そこはかとなくエモいっすね。エモいと言えば、「卒業式に第二ボタンくださいっ!」って風習はどうなったのか? また桜のシーズンですなあ。

――というわけでボタンにも色々あるわけですが、いまもっともオンなボタンと言えば、やはりアレですよね? 「いいね」のボタン。日々バシバシ押しては親指立てまくってる方もいらっしゃることと推察されます。いやー、あれこそ史上最強のボタンかもしれない。押すことで人と情報、人と人をつなぎ留めようとする。

つまり21世紀になってようやく、ボタンにおける「つなぐ」と「押す」が統合されてしまった!……ということなのか? なんにせよ世界はボタンの花盛り――毎朝起きては洋服を着て、会社に行ってはエレベーターやらなんやら色んなとこ押して、お昼休みにはスマホで「いいね」をプッシュプッシュ。

ボタンって実は偉大な発明でありネーミングだったんですね。

正確に押そう、つながりのツボ。
かけ違えないように、人間関係。
―――― ボタン

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