訓友来訪【第10回】

北島直子さん編集者

2013年8月16日

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物々訓主宰の一筆さんと、アートディレクターの佐藤さん、ナイスガイなお二人とひょんなことからお仕事をご一緒させていただいたご縁で、こうして物々訓を寄せる機会をいただきました。名もなき編集者にありがたいことです。

さて、私はふだん、雑誌や書籍を編集する仕事をしていますが、編集者にとって必須の相棒となる「物」は何かな? と考えますと、それはやっぱり「赤ペン」ではないかとおもいます。

私たちはいつも赤ペンを片手に、本や雑誌に載る前の原稿やゲラをチェックしています。より読者に伝わりやすい表現はないかな、著者の勘違いはないかな、誤字誤植は大丈夫かな、盛り込まれている情報は古くないかな…と、読書するのとはまったく違う視点で、じわじわと追い込むように文字を見つめながら赤字を入れ、時には一日に5万字も6万字も読むこともあります。

「ニンジン、アスパラガス、キャベツ、ホウンレソウ、トマトといった緑黄色野菜は……」

たとえばこの文章、何か違和感がありましたか?
さあ赤ペンの出番です。新種の野菜“ホウンレソウ”は、いつもの野菜“ホウレンソウ”にしなくては。そして即座に、キャベツは緑黄色野菜じゃないぞと気づかねばなりません(両方とも気がついた方は、もしかすると編集者の素質があるかもしれません)。

こうして非常に地味な作業ながら、本や雑誌が読者に届く前のゲートキーパーとして、今日も原稿の小さな誤りや時に重大な誤りを見つけては、冷や汗をかいたり、見つけてやったぜ、とほくそ笑みながら赤ペンを走らせます。
伝えたい情報が読者に届き、ページをめくるドキドキや驚き、何か新しい発見をしてもらえることを想像しながら、“相棒”とともに一冊一冊愛情を込めて行う作業は、私にとっては仕事であると同時に、無類の楽しみでもあるのです。

途中どんなに赤字が増えても
最後はすっきり黒字化させるのが
私の仕事
―――― 赤ペン

作者: お題: 、