う、刺さる!
アナタの鋭い切り口が
私のなかに入ってくるの
あなたが咲かせるキレイな花を
わたしは静かに
海のように包みます。
作者:朽材 の作品(5訓)
わたしがいつも濡れているのは
綺麗な花のせいではないの
次から次へと滴り落ちて
恥ずかしいほど染みていく
それはご主人様がわたしにつけた
2センチ程のひび割れのせい
―――― 花瓶
床に倒れて、
花の命を散らす。
黒い染みの上でわたしは、
まだ涙を流しています。
―――― 花瓶
淀んだ水に
ボウフラが沸き
枯れた葉をまとい
花の遺骸は眠る
忘れ去られた
小さなわたし
―――― 花瓶
大きなホールに大先生が
大きく派手に大量に
大輪の花を大切そうに
大勢の弟子と大汗かいて
大方今日も大金かけて
大柄なわたしに生けてます。