一介の布である私を
頭に巻くだけで、
ヤル気満々に見えるらしい。
人間って、ある意味、単純。
「物」のセリフで、名言を綴ってみる。新ジャンルの短文文芸「物々訓」。
丁寧に 大胆に
使い方で
キモチが伝わってくる
けっこうボク
映ってますよ
―――― ロジンバッグ(すべり止め)
私が鳴ったら夏なんです。
逆は認めません。
―――― 風鈴
繋がらない
コミュニケーションも
大切です。
―――― マスク
汝自身を知れ!
―――― 体重計
ねぇ、見つめて。
ほら、触って。
そっと耳元に引きよせて
ささやいて。
朝から晩まであなたといたいの。
―――― スマートフォン
あなたの好きな人の
笑顔を守るために、
あなたの笑顔を
少しだけかくしますね。
―――― マスク
あなたはいつも冷たい私を温めて
くれる。
―――― 体温計
剛腕 光速
システム ゴキゲン
さぁ
キミとぼくらで
何を紡いでいこうか
―――― 棋譜
焦らないで
羽もフロンもないけれど
君の心を冷ますよ。
―――― 風鈴
痛みを乗り越えてまで
美しくなろうとした
君が好き。
―――― ピアス
繰り返し繰り返し、
その単調で愚直な作業が、
前へ前へと
君が進むために必要なのだ。
―――― 自転車
最近、肩の荷重いんじゃない?
―――― 旅行かばん
雨の日には
わたしが花開いて、
街角を色とりどりに染め上げます。
―――― 傘
いい加減、ワタシをカノジョに
返しなよ
メモ挟んだまんまだし
いつでも返せるようになったから
って、初心に戻らなきゃ
―――― 小花柄のハンカチ
粋という名の輝きは、
時代を超えた輝き。
―――― 江戸切子
例えるなら
深海、宇宙?
マグマ、氷河?
未知との遭遇体験記?
―――― 棋譜
倒すと何だか気恥かしいわ
―――― ベンチシート
好きな子の目を
じっと見つめたい。
そんなあなたに・・・
どうぞ
お使いください。
―――― サングラス
インク切れは
モノマネ王者の私の
小さな抵抗なのよ。
たまにはマネせず
好き勝手やってみたいわ。
―――― コピー機
人生のヘッドライトは、
君の頭の中にある。
―――― ヘッドライト
まあそう気を落とすなよ
―――― ブレーカー
小学校から中学卒業まで
使ってくれて、ありがとう
今は、お母さんが飾ってる
先生のサインは読見づらいけど
―――― 漫画家サイン入りハンカチ
まんぱんになるまでが
ぼくの仕事